九州大学OPERAでは、2000年代後半からTADFの大きな可能性を信じ、萌芽的な基礎研究に積極果敢に取り組んでおり、2012年には100% の内部量子効率を有する有機ELの実現に成功しNature誌に掲載されました。
Kyuluxはこの技術を実用化するために2015年に設立されました。TADFの実用化のためには、発光効率のみならず素子耐久性の向上が必須であり現在Kyuluxでは2024年のマスプロダクションを目指して集中的な研究開発が進められています。
九州大学OPERAではKyuluxの研究開発を側面から支援するために CT分子系の励起状態の高速分光解析・理論解析、さらには素子劣化機構の解明に取り組み、学理の深化と共に高性能分子の提案を進めており、これらの基礎研究が実用デバイスの性能向上に繋がることを強く期待しています。
TADFの本格的な実用化によって、有機分子の新たな可能性が開花し、有機光エレクトロニクスが学理と産業の両面から進展することを強く願っています。
安達 千波矢