日本曹達株式会社との次世代有機EL新規化合物に関する 共同開発契約締結のお知らせ

株式会社Kyulux(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:安達 淳治以下「Kyulux」)は日本曹達株式会社(本社:東京都千代田区、社長:石井 彰)と次世代有機EL発光材料であるTADF向け新規化合物に関する共同開発契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。

日本曹達は、2月に創立100周年を迎え、長期経営ビジョン「かがくで、かがやく。2030」、ならびに3ヵ年の中期経営計画「かがくで、かがやく。Stage I」で、新製品の開発と新規事業への進出を目指しています。日本曹達が長年培った高い有機材料開発力と、広く深い合成のノウハウが当社のレアメタルを使用しない次世代有機EL発光材料であるTADFの高性能化、及び高品質大量生産能力を飛躍的に高めることを目標に新規中間体の共同開発に取り組みます。この共同開発が日本曹達にとって新規事業分野である有機ELディスプレイ事業参入の足掛かりになります。

Kyuluxは、有機ELディスプレイなどに用いる次世代材料の開発を行う九州大学発のファブレスベンチャー企業です。有機ELディスプレイは液晶に代わるディスプレイとして急成長が続く市場であり、5G通信技術の導入に伴い、今後はより一層の高性能化・低消費電力化が求められます。TADF(熱活性化遅延蛍光)は、レアメタルを一切使用しない環境負荷低減型の新規材料であり、このTADFを活用したHyperfluorescence™は高効率、高発色、高純度、低消費電力および低コストを同時に実現する発光技術として今後さらなる事業拡大が期待されます。

コメント:株式会社Kyulux 代表取締役社長 安達淳治
「株式会社Kyuluxは、次世代有機EL材料開発ベンチャーとして製品開発を続けてきましたが、製品化を前にして高品質かつ低コストのTADFの生産が重要な課題でした。このたび日本曹達という最高の事業パートナーと出会えたことに心より感謝しています。今回の共同開発は、TADFの早期量産化を待ちわびる有機ELディスプレイ業界にとっても大きな出来事です。」

コメント:日本曹達株式会社 化学品事業部 事業開発推進室長 天野倉 夏樹
「KyuluxとTADF向け新規中間体共同開発を始められることはまさに当社が目指していたオープンイノベーションの取り組みの成果です。日本曹達とKyuluxの知見を結集すれば必ずWin-Winの素晴らしい関係を構築できると信じています。今後の事業展開をとても楽しみにしております。」

日本曹達について】
日本曹達は、1920年の創立以来、独自の技術とノウハウを蓄積し、農業、医薬品、特殊化学品など多岐にわたる分野で高機能・高付加価値の化学製品を提供しています。また、化学物質を取り扱う企業として、レスポンシブル・ケアの考え方を常に意識し、環境、安全、健康に配慮した事業活動を行っており、革新的な技術や製品を通じて、次世代の夢を実現する豊かな社会の構築に貢献します。
詳細は、https://www.nippon-soda.co.jp/ をご参照ください。

Kyuluxについて】
2015年に設立されたKyuluxは、有機ELディスプレイや照明に用いる次世代材料の開発に取り 組んでいます。九州大学およびハーバード大学からライセンスを得た技術を基に、Kyuluxでは、レアメタルに頼ることなく、コストパフォーマンスに優れた、長寿命かつ高純度の発色、さらには高効率な発光全てを実現するTADF/Hyperfluorescence™発光技術を開発しています。
詳細はhttps://www.kyulux.com/?lang=jaをご参照ください。

【本件に関するお問合せ】

株式会社Kyulux事業開発部
Email:info@kyulux.com

補足:TADF (Thermally activated delayed fluorescence:熱活性化遅延蛍光)
有機ELディスプレイの発光層は、電荷の再結合が起こり、有機材料の発光が起こる最も重要な層ですが、発光層は発光体とホストから構成され研究開発の主題となっており、現行世代の有機EL発光体の次の3つの主要な挑戦課題を克服していきます。

  • 現行の赤と緑の燐光発光体にかわる低コストでレアメタル不使用の発光体
  • インクジェット印刷に適した効率的で長寿命な可溶性発光体
  • 効率的で長寿命な青色発光体

TADFは、九州大学の安達教授とその研究所である、最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)で開発されました。TADFの研究は2009年に始まり、近年、世界中の学者や企業による広範囲な研究活動が行われています。

Hyperfluorescence
TADFから蛍光分子にエネルギー移動させて発光させる技術で、高効率、レアメタ長寿命およびレアメタルフリーで高色純度の発光を実現します。

以 上