Kyuluxは、5/30~6/2に行われたICDT China 2021でKyuluxの最新の開発進捗状況を発表しました。
この発表でKyuluxは、光学シミュレーションと実験によって、Hypoerfluorescenc™が従来の技術に比べ高い電流効率を実現できること、そして、デバイスの劣化試験によって得られた知見から、デバイスの寿命を大幅に伸ばすためのTADF材料設計の方向性を見出し、青と緑のHyperfluorescence™の長寿命化に成功したことを報告しました。これらの成果はKyulux独自のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)システム、「Kyumatic」を活用して得られたもので、Kyumaticにデバイスの耐久性に関する知識やデータをフィードバックさせることでKyumaticの精度を高めていきます。
Hyperfluorescence™はその発光メカニズムから、原理的に従来の発光材料である蛍光の4倍の発光効率を実現できるといわれていますが、深い青色発光で効率の指標として用いられるブルーインデックス(BI)で評価した結果からも、4倍の効率を達成できることが明らかになりました。
さらに、Hyperfluorescence™が持つ狭い色半値幅は、トップエミッション構造では、ボトムエミッション構造に比べ遥かに高い発光効率を可能にします。これらの結果は、Hyperfluorescence™がリン光よりも優れた有機EL発光技術であることを示しています。また、蛍光材料の発光特性を改善することにより、Hyperfluorescence™の性能をさらに向上させることができると期待しています。
さらにKyuluxは、トップエミッション構造の最適化による高性能化に加えて、青と緑のHyperfluorescence™の長寿命化の手法を見出しました。新たなTADF材料は、劣化実験結果に基づく知見から材料設計を行うことで、高い電子移動度と最適化されたLUMOエネルギーレベルを実現しています。その結果、新しいTADF材料は電子注入と輸送の問題を大幅に改善し、青と緑のTADFデバイスの寿命をそれぞれ緑が5倍、青が1.65倍に伸ばすことに成功しました。
Kyuluxは、これらのHyperfluorescence™における最新の研究開発成果を基に、さらなるパフォーマンスの向上が期待できると確信しており、モバイル用有機ELの実用化に向け着実に進んでいます。